営みマウンテン, [45L garbage bag]

宮下 和

担当教員によるコメント

宮下のドローイングは軽やかで美しい。そこに描かれた町並みは、見る人を散歩に誘うような軽快な気分にさせる。しかしよく見るとそれらの町並みは、飲み終えた紙パックや使い終えた絵の具チューブなどでできている。いわばゴミによって街を構成しているのだ。そこには華やかな都市の裏に潜む社会問題を指摘するという面もあるが、宮下はもう少し遠くを見る。数百年、数千年後にこれらの都市が遺跡として発掘されれば、ゴミはゴミとしてではなく、往時の生活を知る豊かな手がかりに変貌するだろう。そういった視点が宮下のゴミ絵画(失礼)には隠されている。そういえば美術の役割のひとつは、物事の本来持っている価値を変換させ、新たな価値として提示することを含んでいるのだった。

教授・菊地 武彦

  • 作品名
    営みマウンテン, [45L garbage bag]
  • 作家名
    宮下 和
  • 作品情報
    『営みマウンテン』
    素材・技法:ミクストメディア
    サイズ:サイズ可変

    『[45L garbage bag]』
    素材・技法:ミクストメディア
    サイズ:サイズ可変
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