原風景

吉村 ありさ

担当教員によるコメント

おおらかな印象を醸し出すこの作品の織物設計図は、まるで精密機器の設計を思わすほど複雑です。
高い計画性とそれを実現させる技術力があってこその作品であることを知ってほしいと思う反面、そのような技術自慢にならない仕上がりになったことがこの作品の魅力です。絣技法で経糸の色を部分的に変えることで、文様の見え方が複雑になり奥行きのある色幅豊かな表現となっています。日本古来の伝統技法を用いながら、等身大の今を描いたことで、世代を超えて多くの人々の心に届く作品になったのではないでしょうか。機音が音楽に聞こえるかのように、楽しげに織っていた吉村さんの姿を想像しながら鑑賞していただきたい作品です。

講師・辛島 綾