構築

田中 蕗

担当教員によるコメント

帯状の銀板を鑞付けで組んで構成し、断面の面白さを見せるリングを制作した。すっきりとした印象の装身具には作者のセンスがよく表れている。数多くのデザイン展開を目標とする中、苦心し、停滞する時間も見受けられたが、技術の向上に伴い少しづつ動き始めた様である。素材に触れる事で知り、その発見からものが展開されていくのは、工芸制作における特徴の一つだが、この作者の場合にも又、日々こつこつと取り組み励んだ成果として、展開力の向上が見られた。自身の技術の一歩先を目指す事で、卒業制作の最中にも成長していく姿は、評価すべき点である。作品としての強さを求めるならば、より貪欲に自己のイメージを膨らませることが必要であろう。今後は、自己にとってのデザインする事の意味を熟考しつつ、独自の装身具を作り上げていってもらいたい。

非常勤講師・留守 玲