ここでのこと

安藤 項司

担当教員によるコメント

安藤は、光を映す写真の魅力に惹かれ、光の透過による表現を模索してきた。卒業制作は、写真で捉えた一瞬の風景の移り変わる光の時間と空間を表現することをテーマにした。人が行き交う街の風景にカメラを構え、時間をずらせて3枚の写真を写す。それぞれの写真には,人と車の時間の流れを映そうとしたものである。写真を板ガラスにシルクスクリーンによって転写し、黒のエナメルで焼き付けすることで、ガラスに透過する光の効果を探求した。3枚の板ガラスに焼き付けした画像を重ねることによって、モアレが生じて画像に動きと歪みが起きることを発見した。安藤はこのモアレがより強く動きがでるように試作を何度も繰り返し、自身がテーマとする時間と空間の表現を明確なカタチに完成させた。今後の作品の展開を期待したい。

教授・池本 一三

  • 作品名
    ここでのこと
  • 作家名
    安藤 項司
  • 作品情報
    技法・素材:ガラス、エナメル
    サイズ:すべてH520×W760×D35mm
  • 学科・専攻・コース