glow

今井 佳奈

作者によるコメント

人の心に残り続ける世界を創り出すには「光」が必要不可欠だと考えます。卒業制作ではこの「光」をテーマにしたアニメーションを制作しました。光る実がなる木と少年の物語「glow」は、油彩のような手書きの温かみを感じる作画手法と、光を演出することで、少年の感情の動きや物語の世界観を表現しました。卒業制作アニメーション「glow」の光が、見た人の心のどこかでひっそりと光り続ける作品になれば、嬉しいです。

担当教員によるコメント

光を放つ木の実をめぐる少年とおじいさんの思い出物語。全編デジタルでペイントされたアニメーションであるが、ぼんやり明滅する木の実の発光がとても暖かく、素晴らしい効果を上げている。この全編におよぶ効果を描くために今井佳奈は、すべてのカット1枚1枚にざわざわと明滅する調子の描き込みを施した。それだけでもかなりの作業量である。デジタルでペイントされた作品はともするとあっさりとした冷たい印象になってしまうが、丁寧な作業によってとても豊かな世界観に仕上げている。また、オーバーラップを多用し、過去の回想や時間経過などを上手く見せる編集も心地よい。3年次にはユーモラスでコミカルな作品も作っていたがどの作品にも、作者の優しい眼差しが感じられる。

教授・野村 辰寿