午前3時の仮面舞踏会

小林 香鈴

作者によるコメント

午前3 時の間だけに現れる怪しげな生物たちが行き交うアニメーションを制作しました。生物たちが放出され、メスがダンスの相手のネズミの人形を選び、飲み、食い、着飾り、踊るというストーリーですが、今まで作ってきたアニメーションに共通して言える、説明的な表現はあまりせずに、動きを重視することを目指した作品です。怖くない悪夢を見たい人のためのアニメーションです。

担当教員によるコメント

怪しげでノスタルジックな世界観は小林香鈴がずっと描き続けているモチーフである。さらに言えば時代感のある郷愁にみちた音楽にあわせたダンスシーンもそうだ。まるで夢(悪夢)をみているようなシーンが次から次へと展開されていく。それはまさにアニメーションでしか描けない流動的で有機的なイメージの万華鏡である。アニメーションは普通、コンテを作り、次に描いた原画の中割りをするなど計画的に作業を進めて行くのであるが、作者はコンテを描かずに頭から順番に描き進めて行く。頭の中に確固たるイメージや展開がないとできないことだ。どこか埃をかぶったような古めかしさへの偏愛、儚げで失われてしまいそうなロマンチズムが作者の脳みそにはいつも渦巻いているのだろう。

教授・野村 辰寿