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神谷 真美

作者によるコメント

自身の出身地、愛知県・常滑市の魅力を伝える布のグラフィックを作りました。古くより窯業が盛んで、常滑焼という伝統文化を守り続けるやきものの街・とこなめの魅力をアピールするため、生産量が日本一である招き猫や、街のいたるところに埋まっている甕など、とこなめにまつわるあらゆるものを描きました。それらを通じて、土地に吹くやわらかな風や、ゆっくりと流れる時間など、とこなめという場所の目に見えない心地よさをかたちとして表現することを目指しました。

担当教員によるコメント

デザインをする上で大切なことのひとつに、対象への愛があります。それがないと、事情をデザインすることになってしまいます。神谷さんは、出身地の常滑(とこなめ:焼物で有名、招き猫の発祥地と言われる)への思いをデザインしました。ただ、話を聴いていると、単なる郷土愛ではありませんでした。神谷さんが見据えていたのは、地域とデザインの関係です。デザインに限らず、東京に情報が集中している昨今ですが、地方や地域には、豊かな文化や知恵が蓄積されています。であれば、デザインはそれに寄り添う必要があるでしょう。ビジネスの機会ととらえるのではなく、文化伝播の機会と考えるのです。神谷さんを優れていると思ったのは、それを軽やかに伝えているからです。

教授・山形 季央