Little rubber duck

竹下 ひかり

作者によるコメント

映像実現にあたり撮影機材の制作から始めました。ガラス板をレイヤー状に配置するマルチプレーン撮影という技法内でコマ撮りを行い異なる物質同士の同画面上共存と画面透過を試みながら撮影をしています。【物語】1992年一隻の船が嵐で難破。積まれていたのはお風呂のアヒルでお馴染みのゴム製アヒル「ラバーダック」。ラバーダック達は海へ落下し15年の歳月を経て太平洋を横断したという実話を軸に旅の様子を描いています。

担当教員によるコメント

竹下のアニメーションは切り絵をコマ撮りしたもので「手間隙」をかけるクラフト性に人一倍こだわったものになった。まず、撮影の機材や手法から開発し、レイヤーをある部分は10以上重ねるなど、一人で地道に確実に、長期間かけて制作を続けていった。上映では劇場の隅に原画や撮影のための機材、制作した机や絵コンテなど、竹下のアトリエがそのまま移動してきたような展示をした。実際ヨーロッパであったおもちゃのアヒルの漂流のニュースを想像力を持って膨らませてストーリーボードを描き、可愛いキャラクター開発で終わらせずに孤独や幸福など、人生で誰もが感じる教訓や経験にも踏み込んでいることで鑑賞者のこころに残る表現になっているのだろう。竹下の造形への追求や優しさが織り込まれた作品になっていると思う。

教授・佐野 研二郎、非常勤講師・榮 良太、非常勤講師・小杉 幸一

  • 作品名
    Little rubber duck
  • 作家名
    竹下 ひかり
  • 作品情報
    映像(4分42秒)、立体
    技法・素材:コマ撮り(ストップモーションアニメーション)、マルチプレーン撮影
    サイズ:機材=H800×W600×D500mm/机=H2100×W900×D600mm
  • 学科・専攻・コース