CEDAR

片岡 由梨奈

作者によるコメント

重い、かたい、鈍い…といった、コンクリートの既成概念をデザインで新たな価値に転換させた。重厚な高級感、信頼感ある堅牢性、様々な空間と調和する中庸な質感といった新たな価値を見出し、それをルーバー構造を用いて表面積を増やすことでコンクリートの高い反響を活かして360°サラウンドスピーカーというプロダクトに落とし込んだ。コンクリートの新たな印象、使い道、フィールドを切り拓く可能性を、本格音響機器、高級インテリアという側面から提案する。

担当教員によるコメント

日本興業株式会社との産学連携研究から創造された360°スピーカーである。「コンクリート応用研究」という研究依頼のもと、コンクリートの既成概念を価値に転換する事をテーマに推進。ネガティブに解釈されがちな素材イメージの無骨、荒削り、質素を“重厚で” “堅牢感があり” “中庸である”とポジティブ変換し、同時に素材特質である”音の反響性”をプロダクトアウトする事で新たなフィールドを創り上げた。製造上も“高強度コンクリート”の薄い板材によるルーバー構造という高度な技術を提案した事で、共同研究として委託先の技術革新にも繋る提案であった。結果、委託先のフラッグシップ商品として商品化にまで至るなど、卒業研究としての高い完成度を修める事ができた。

教授・中田 希佳