無題

石田 敦也

担当教員によるコメント

荒涼とした原野の水場争いに勝利し、歓喜する猿人の放り投げた獣の「骨」が瞬間、漆黒の空間に浮かぶ宇宙船へとイメージが一変する。「2001年宇宙の旅」の名場面であるが、完成した石田の作品を目にしたとき、横たわる骨の様な石塊にそのイメージが重なった。素材の花崗岩は都市に生活する者とってはもはや非日常的な物質である。しかし、石田を突き動かした始源への衝動と造形との「交歓」は、まさに無垢な情動であり、人類の祖先が最初に手にしたであろう「道具」と「彫刻」との間に横たう時空を観想するのは実に妙である。何故なら、そこには造形の根源的な命題がそれぞれに窺えるからである。

教授・水上 嘉久

  • 作品名
    無題
  • 作家名
    石田 敦也
  • 作品情報
    技法・素材:白御影石(ジャロサンタセシリア)
    サイズ:H30×W40×D300cm
  • 学科・専攻・コース