伴野 麻実

担当教員によるコメント

この作品は形の定まらない「水」の有様に形を与え、観る者に安心感や安定感を感じさせるような場所の象徴としての壺が表現されている。この写真からは上の面が見えないが、壺の上の面には入念に水の波紋が彫り刻まれており、全体としてゆったりとしたフォルムで立ち上がっている壺の姿が美しく、荒く勢いのあるノミの彫り跡の効果によって、作品にしっかりとした存在感が与えられている。柔らかな日差しに包まれたこの作品からは木の素材の暖かさも伝わってくるたいへん魅力的な木彫作品となっている。

教授・川越 悟