卒業制作優秀作品集2018
演劇舞踊デザイン学科

卒業公演(演劇)

『大工』

作・演出:柴 幸男
演劇(75分)
期間:2017年12月23日、24日、25日
会場:東京芸術劇場シアターイースト

出演:安部 萌/阿部 百衣子/荒木 知佳/石川 貴大/石坂 杏子/宇佐美 優花/梅田 哲志/小笠原 瑛作/緒方 壮哉/奥 萌/小山 薫子/菊地 侑紀/河野 まとい/坂本 華菜/鈴木 正也/鈴木 遼太/田口 紗亜未/寺澤 亜彩加/徳永 弥芳子/難波 朱夏/畑中 瀬音/花輪 あやか/原口 理沙/平井 貴大/松葉 優佳/三方 美由起/三原 海/森田 聡洋/湯川 拓哉/湯川 立梨/芳野 里子/米川 俊亮

美術:岩出 玲於奈/木内 政太郎/須澤 里佳子(プランナー)/平嶋 佑紀/吉岡 牧穂/山崎 亜美/和田 尚久

照明:秋山 梓織/籠谷 菜々(プランナー)/吉野 有紀

衣裳:石倉 瑞樹/KIM Sae Byul/須藤 桂子/藤本 楓(チーフ)/星 梨衣奈

演出部:渡辺 小龍

各担当教員によるコメント

『大工』では俳優たちに様々な制約がありました。30名を超える共演者との集団演技。音楽に合わせての台詞回し。巨大な美術の移動と構築。それらの制約を乗り越えて俳優たちは自身の演技、仲間との演技、作品世界を演じ切りました。ほとんどの俳優にとって今回の舞台の広さ、観客の多さは初めての経験だったはずです。その重圧は相当なものだったでしょう。しかし、その重圧を乗り越えて実力を十二分に発揮した今回の経験は今後の彼らの活動の大きな糧になるでしょう。
講師・柴 幸男(作・演出)

もちろん須澤里佳子のデザインコンセプトが素晴らしかったのですが、これを具現化しなくては舞台美術としての意味がありません。どんなデザインも様々な人の手によって舞台装置となり、照明があたり、俳優が入り、それを観客が観て初めて作品としての命が吹き込まれるものです。新学科一期生の舞台美術ゼミ生は7名、一人ひとりがこのデザインを具現化するために協力をしあい、お互いを尊重しあいなんとか製作を終え、劇場に搬入〜仕込み〜本番転換〜撤去・搬出と無事に公演を成功させたのだが、私たちがこの学科での4年間で教えたいことは、作品を作り上げる実践的なプロセスだけではなく、そのプロセスの中での人と人とのつながり、葛藤、融合などが作品をつくる上での糧になっているということです。そういう意味では、舞台美術ゼミ7名全員がこれを経験して、この学科の最終目的地にたどり着いたと思います。この学科の最終目的地は、これからの人生のスタートラインであり、さらなる飛躍を期待します。
教授・金井 勇一郎(舞台美術)

『大工』は人間の歴史に対する批評性に満ちた作品。3.11の記憶と、現在進行形の記録が、劇作の地層にある。その地層は、3.11を含む人間の過去と未来の歴史。展開される物語はリアルなファンタジー。衣裳デザインは、“リアルなファンタジー”を表現。“大工たち”の衣裳は、“大工”を記号化したデザインであり、同時にその“らしさ”をポップに裏切る。素材、ペイントの技法、そして色彩がポップ。ポップカルチャーのポップ。つまりポピュラー=大衆。強いリーダーを求め易く、集団行動に流され易いという大衆の側面がデザイン化されている。個々のキャラクター造形には遊び心が持ち込まれ、ファンタジーを装うデザイン。ファンタジーはあくまでも装いであり、リアルを逆照射。劇作の地層へのアプローチを重ねたデザインの思考を評価したい。
教授・加納 豊美(衣裳)

その舞台に於ける「照明」の目的とは何であるのか?を考えるとき、以下のような事を思う時がある。そんな事を思うのは大抵「照明」の価値が懐疑的になるような自身に起きた事件が要因であり、へこたれた時です。「大体照明が明るかろうが暗かろうが演劇には何も影響しないではないか!」等と考えてしまう程落ち込んでいる時です。斯様に落ち込んでいる時に劇場に出かけてしまい「ファウスト」を思いがけず観た。客席が暗くなり暗転の中、虚空に手を伸ばし苦悩するメフィストフェレスにBackLiteがゆっくりフェードインしてきた。それを観た瞬間身震いした「照明は何て素敵なのだ」と!学生にはそんな事を話した。照明技術者としての能力も勿論重要であるが、もっと重要なのは、あかりを作るのが照明の目的でなく、それは手段である。芝居を作る事が照明の目的である。卒業生はその事を充分理解してくれたと思っている。
教授・成瀬 一裕(照明)

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