曖曖
唐戸 葵
担当教員によるコメント
「作り手が生み出すものとは、記憶のスクラップである。」と唐戸は言う。その記憶は淡く不明瞭で、うつろいやすい。そんな誰かの、どこかで見たような懐かしい印象を、鑑賞者に抱かせられる表現を唐戸は目指している。作品の表面の不思議な装飾や、回転体のようなフォルムを歪みながらもゆったりと保つ作品の姿は見飽きることがなく、鑑賞者に何事かを喚起させる力を持っている。ただ、漠然と記憶という切り口や、懐かしさという感慨は、口当たりの良い言葉であり、すでにある種常套句的でもあり、作り手としてそこに安住拠することは薦めたくはない。制作の過程で重ねていった彼女の判断の意味を、出来上がった作品から遡るように問い続けることで、表現の本質にさらに迫ってもらいたい。
教授・尹 煕倉
- 作品名曖曖
- 作家名唐戸 葵
- 作品情報技法・素材:陶
サイズ:H300×W750×D410mm、H610×W300×D320mm、H510×W400×D390mm - 学科・専攻・コース
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