jacky
榊 美智子
担当教員によるコメント
榊美智子が愛犬を抱くうちに「まどろみの中であやふやになっていく」と感じたことがこの仕事の動機となっている。この様な経験は視覚を超えた、矛盾するが誰もが既視感を覚える、出来事であろう。まどろみの最中で、彼女は触れることができる口や耳とは違い、愛犬の眼には触れていない自身に気づいている。生き物は触覚の延長として眼を生み視覚を手に入れた。さらに人間だけが唯一の生き物として俯瞰の視点から自分自身、つまり「私」を獲得した。愛玩対象の犬には「私」はない。しかし、まどろみの中での愛犬との融合によって、彼女の俯瞰しようとする視線が不明になっていった。「私」が存在しなくなっていく美しい勘違いである。それゆえにこの仕事において穏やかに表された犬の表層には、眼としての二つの穴が穿たれている。
教授・井上 雅之
- 作品名jacky
- 作家名榊 美智子
- 作品情報技法・素材:陶
サイズ:H450×W550×D700mm、H500×W600×D280mm、H250×W770×D280mm、H550×W550×D650mm - 学科・専攻・コース
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