脆く、強いもの

進藤 愛里

担当教員によるコメント

進藤は、「儚い」をテーマにすることでガラス素材の特性で有る脆く繊細かつ強さを感じさせることを作品に込めた。ガラスを電気炉で鋳造する過程で溶けきらないガラスの表情を発見したことが、儚さのイメージに繋がったのである。型に触れないで溶けて流れるガラスの表情は時間とともに変化し形が消えていくまでのガラスの流れる様を留めることが、一瞬の焼成温度によってどのタイミングでガラスを見極めるかが大変難しい方法ではある。多くの工程を要する制作を根気強く納得いくまで何度もトライした彼女の強い気持ちが、完成度のある魅力的な作品になったと思う。ガラスに真摯に向き合い、ガラスの新たな魅力に取り組んできた卒業制作は、「儚い」という言葉の意味を超えて想像力をかき立てる存在感のある作品となった。

教授・池本 一三