おりかご

伊東 千輝

作者によるコメント

折り紙でかたちづくられるゆりかごのような空間・家具。紙の柔らかさやあたたかみ、座ったり寝たりすることによるかたちの変化が体にフィットし、心地よさを感じる。

担当教員によるコメント

小さなパーツを集積した立体作品である。身体を包み込む大きさの形態を生み出す過程において、どれだけ試行錯誤を重ねたかが重要である。初期に参考とした紙の茶室(紙庵)と比べ、採用された素材は、小さく、薄い紙片であった。はじめから結果ありきではなく、つくりながら、中に入って感触を確かめながら模索していく過程があったからこそ、ゆりかごのような安心感に包まれる空間が実現できたとおもう。表面と裏面のテクスチャーが異なる’はまゆう’という紙に着目し、表層の摩擦によって形態を保持する強さを活用している。繊細な紙を幾重にも折りたたみ、さらに積層することにより生まれたこの「おりかご」は、周辺の空気を通し、浄化するフィルターのようでもある。

准教授・湯澤 幸子