ワタリブネ

濵先 沙奈

作者によるコメント

瀬戸内の離島をめぐる、小さな8隻の船のマーケット。各船がレストラン、市場、ギャラリー等の機能をもち、離島の桟橋を巡っていく。便利さだけではない、瀬戸内らしいゆったりとした”豊かさ”を届ける新しい物流の形。

担当教員によるコメント

過疎化が進む瀬戸内海の島々を小舟で結び、生活の利便性と島同士のつながりを復活させる試みである。小舟は島民を運ぶのではなく、物販の店舗でありレストランであり、図書館であり、ギャラリーであり、舟ごとに異なるさまざまなサービスを島に運んでくる。それも大都市から放射状につながるのではなく島から島へと渡り歩くように巡るところがよい。かつて島々には農船と呼ばれる別の島の畑に通う小舟が港に集まっていた。しかし近年その風景が消えてきて、日常的な小舟の使用が減っていることがこの計画のきっかけとなっている。特産品やレストラン船などは観光客の利用も見込めるが、島民のための存在であることが重要で、島民の視線を大切にした心優しいプロジェクトである。

教授・岸本 章