日常を紡ぐ

三浦 研悟

作者によるコメント

横浜市西区の台地に計画する、住宅と公共施設が一体となって作られる街並みの提案。南北を縦断する大きな擁壁群を再構成していきながら、住む人、訪れる人、自然の生態系が紡がれる居場所を作る。

担当教員によるコメント

横浜開港時に真っ先に宅地開発された横浜全体を見下ろす高台は現在、ほかの横浜の典型的な住宅地と同じく無粋な擁壁により各住戸の生活が守られ、公共施設は孤立した人々が集うがよそよそしい。本作品では集合住宅と小さな公共区間を表裏一体で計画し、プライベートとパブリックのシェアはどこまで可能であるかに挑戦した。擁壁が小さな段差の連続に解体され、はかなくて面白い官民の境として使いこなされる。林立する構造体は、今日的などこまでが私なのかわからない居心地の良さを面的に展開し、日常が「小さくて新しい公共」と豊かに溶け合う。3本の道広場は図書館、公民館、児童館の機能を有し、住宅側の通路は自動運転のシェアカーがゆっくりと生活と関わり全体の親密さを保っている。

非常勤講師・古暮 和歌子