生き続ける歴史建築 −台湾における日本統治時代建築利活用−

荘 佑竹

作者によるコメント

台湾で自分の事業を立ち上げたい人のために、歴史建築の利活用を通して、低コストのコワーキングスペースを提案する。また歴史建築の中にそうした場所を作ることで、現在放置されている文化的価値のある空間に新たな生命を与えつつ、台湾における社会問題の現状を改善することを願う。

担当教員によるコメント

歴史的建築物をどこまで攻めて再生させるか、その判断力を丁寧なリサーチにより養い、取り組んだ力作である。敷地に選んだのは台湾の台中市旧市街にある平屋が並列した日本統治時代の州官庁付属建物群であるが、これらは戦後、町屋的に使われ増改築を繰り返された後に廃墟になっている。本作品は、鉄骨補強を兼ねながら既存建物の直交軸上に並列増築するというユニークな提案である。このことで光と風を呼び込み、敷地の中に格子状の動きが生まれ、動的な空気感が若者をサポートする明るいシェアオフィスができた。さらに歴史的に重要な建物は博物館として再生し、敷地内に戦後建てられた台中市建設局は建替えて連結し、この格子状の動きを強化して全体的に豊かな広がりを生み出している。

非常勤講師・古暮 和歌子