the day

川井 江里夏

作者によるコメント

文化や環境が目まぐるしく変わる現代の社会において、繰り返す日々の中に「生きることの喜び」や「日常の幸せ」を感じることは難しくなってきたように思います。本作では、現代人に伝わるような設定とストーリーで、「日常の尊さ」を感じられるアニメーションを志しました。さりげなく日々を過ごしている人にとってこの作品が、「日常の尊さ」を顧みるきっかけになれば幸いです。

担当教員によるコメント

精緻に描きこまれたカットの集積によって構成された本作は、川井江里夏が準備期間から含め1年間を投じて向き合った努力の結晶である。これまでのライトなテイストの作品群とは打って変わった今作のモノクロを基調とした重厚でリアルな描写に、作者の本気と表現力の幅広さを感じた。繰り返されるごとに変容する渋谷の街の描写は、短いカットの畳み掛けで緊張感を高め、ラストの解放へのメリハリをつけている。作画はもちろんのこと、音楽や効果音にも細やかなこだわりと執念で臨み、自身の脳内に内包しているビジョンの再現に徹した。毎週の授業に出席し制作の進捗を提出し続けたその姿勢と、その間の作品の進化から、アニメーションを学んだ2年間の大いなる成長を実感させられた作品だ。

教授・野村 辰寿