蓮華飯店黒体

直原 杏花

作者によるコメント

蓮華は「ハスの花」、飯店は「中華料理店」、黒体は中国語で「ゴシック体」を意味します。蓮華飯店黒体は、その名の通り中国語の看板文字に着想を得た書体です。均一な密度の徹底、角丸の処理、極端な字形の改変・省略を意識することで、コントラストの強さや暑苦しさを持った書体に仕上げました。文字の圧を感じてください。

担当教員によるコメント

直原杏花さんの卒業制作作品「蓮華飯店書体」は、ひとつひとつの文字の造形のたしかさ、そして整然と並んだ文字が織りなす面の美しさに目を奪われる作品です。中国の看板文字から着想し、並べるだけで人を惹きつける魅力を発揮する活字書体の実現を目指した直原さんは、無数にある漢字のどれにでも適用可能な原則を確立しながら一文字一文字を完成させていきました。最終的に1,080字に到達できたのは、4年間を通じて培われた直原さんの計画力と実行力、造形力によるものですが、なによりその背後にデザイン/活字書体への真摯さがあったからです。そのような姿勢・態度を、完成した卒業制作の完成度・クオリティをもって示し得たことに心を打たれます。

准教授・佐賀 一郎