反抗期

上田 加奈子

作者によるコメント

いつもいつもニンゲンのために、良い子でなんていられない。思春期を迎えたデリケートな日用品たちは自らのカタチを変え、ささやかな反抗を試みた。普段は当たり前のように使っているのに、少し変わっただけで全く使い物にならなくなってしまう。とはいえ、反抗期は誰にでも訪れるものなので、しかたがない。気がすむまで、そっと見守ろう。

担当教員によるコメント

注ぎ口が下についた醤油差し、押す面にもトゲがでた画鋲、グニャグニャでさせない雨傘など、どれも使いものにならない愛すべき反抗期をむかえた日用品たち。
上田の作品はいつだって、とびきりのユーモアを感じさせる。ユーモアは決して簡単ではない。
得てして下品になりかねないのだが、彼女のユーモアは軽やかで品格があり、老若男女問わずみんなを幸せな気持ちにさせてくれる。
これは、いつもニコニコしている上田のサービス精神という才能である。

教授・大貫 卓也