かもしれない、じゃないかもしれない

中島 生成

作者によるコメント

「人は他人の様々な見方に触れたことをきっかけとし、自分の考え方や見方を変えていく」 ということから、私自身がある一つのものを「かたち」「色」「重さ」など様々な角度からみて要素ごとに分解し、私がそのものを感じる瞬間を集めて提示することで、それを見て 鑑賞者が自由に感じ、考え、想像してもらえる作品を制作しました。この展示では「一つのものを様々な角度から見る」ということを空間で表現しています。同じものに対する考え方、感じ方、見え方はひとりひとり違います。「かもしれないけど、そうじゃないかもしれない」と様々な見方から考えることで物事は違って見えてくるのではないでしょうか。

担当教員によるコメント

ものの「見方」について考察したインスタレーション作品。ある対象をどのように見るかによって、その対象の捉え方が変わる。そのことに対する興味が制作の発端だが、中島はそれを一面的な見方への批評に育てた。タイトルの「かもしれない、じゃないかもしれない」は、「こうでなくてはならない」と決めつけることへの反省にもなっている。誰もがわかっていながらも、決めつけの呪縛は簡単には解けない。「猫」という対象をさまざまな観点から眺める本作は、柔らかで親しみやすい表現を用いながらも、知らず知らずのうちに観る者を内省へと導いていく力を持っている。そこには、(作者の意図にはなかったにせよ)分断の時代といわれる社会への眼差しが潜んでいることを付け加えておかなければならない。

教授・永原 康史

  • 作品名
    かもしれない、じゃないかもしれない
  • 作家名
    中島 生成
  • 作品情報
    インスタレーション
    技法・素材:印刷、木材、粘土、映像、布 他
    サイズ:H700×W4000×D4000mm(全体の面積)
  • 学科・専攻・コース