こきぬ・いには・いんば
井上 貴代
担当教員によるコメント
写真インスタレーションはメディア芸術コース始まって以来の「お家芸」として、多種多様な形態の作品が生まれてきたが、この作品はその系譜に新たなページを付け加えるものである。故郷で漁を続ける祖父を中心に印旛沼の風景が丹念に撮影されている。都心からそれほど遠くない場所に存在する豊かな水の広がりに圧倒され、薄い布地にプリントされ吊るされた写真は、実際に使われている漁網とともに、イメージの「環境」を作り出す。作者は印旛沼でも同じインスタレーションを行っており、撮影した写真を撮影した場所で見せることを通して、環境を強く意識した作品を作り上げた。同時に上映される映像は貴重な記録となることだろう。光と風が通る開放感に溢れた作品であるが、そこには日本の水景の未来も投影されていることに気づかされるのである。
教授・港 千尋
- 作品名こきぬ・いには・いんば
- 作家名井上 貴代
- 作品情報写真インスタレーション
技法・素材:デジタル捺染プリント、ジョーゼット、漁網、洗濯バサミ
サイズ:W5400×D12500mm×H3000mm(10点) - 学科・専攻・コース
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