先客
松本 耕治
作者によるコメント
映像と現実とは隔てられた別の空間であり、映像の中身を現実の物と同じように捉えることは普通ありません。
この作品では、ぼかしを使い映像の粒子や奥行きを曖昧にすることで、映像を現実と錯覚させ「扉の前にいると思っていた人が実際には存在しない」という体験を作り出します。
担当教員によるコメント
松本は、作品制作を通じて、2年間ずっとリアリティの問題について取り組んできた。それは言い換えると、私たちが体験した時に「存在感」を感じてしまう情報の質には、果たしてどのような条件があるのかということを探ることでもある。松本が取った質へのアプローチは、4Kや8Kのような高解像度を目指したり、VRのような視野を拡張するという従来の試みとは一線を画した、あえて低解像度の情報を提示することによって、私たちの頭の中にリアリティを創り出すものである。人間の想像力を喚起するこの取り組みは、現在のメディア技術の進化に対して、敢えて異なる分岐を示すものとなった。
教授・中村 勇吾、講師・菅 俊一
- 作品名先客
- 作家名松本 耕治
- 作品情報映像、インスタレーション、表現研究
技法・素材:ディスプレイ、木材、建材部品、PP
サイズ:W790×H1870×D120mm(1点) - 学科・専攻・コース
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