遠いつながり

渡辺 光

作者によるコメント

本作は、「行為」と「内容」のアナロジカルな関係を主題として制作された、体験の標本である。
作品は以下の2点で構成される。
(1)装置の形状とそれが誘発する行為
(2)(1)とインタラクティブな関係をもった映像とその内容
本作は、上記の2つの間に「遠いつながり」を作ることを試みたものである。体験者は装置に触れる前は、目の前の2つの要素に関係性を見出していない。しかし装置に触れてひとたびそのつながりを理解すると、何度もその関係を確かめたくなるような喜びを感じる。本作は5種類の装置と映像によって構成されている。それぞれの体験の原理や性質は異なるので、個々の作品に小さな考察を付した。

担当教員によるコメント

人間は、あらゆる物事に意味を見出してしまう。全く無意味なまま事象を捉えることはできない。そういった視点で考えると、デザインとは、無関係な物事同士の関係性を作ることで、意味の生み出し方を設計する行為であるとも言える。渡辺光による映像と身体のインタラクションの探求は、スマートフォン登場以後、間接操作から直接操作にシフトした映像の操作体験を、人間の「関係性を結ぶ力」を使うことによって、間接操作に潜んでいる新しい可能性を見出すものとなった。ここから先に進むためには、「可能性を示す」という段階を乗り越える表現の強さや、社会定着のためのアプローチが必要になる。さらなる探求・活躍を期待したい。

教授・中村 勇吾、講師・菅 俊一

  • 作品名
    遠いつながり
  • 作家名
    渡辺 光
  • 作品情報
    インタラクションデザイン、表現研究
    技法・素材:木材、iPod、Unity、C
    サイズ:W60×H125×D300mm(1点)、W150×H10×D160mm(1点)、W220×H80×D100mm(1点)、W100×H60×D340mm(1点)、W160×H60×D100mm(1点)
  • 学科・専攻・コース