Neighbors

嶋崎 仁美

作者によるコメント

ぬいぐるみみたいに、人間がもし神さまの工場で大量生産されていたら、全人類はほとんど同じ姿かたちをしていたかもしれない。
あるいは、私たちはぬいぐるみみたいに、神さまから見たらほとんど同じ姿かたちなのかもしれない。
目の大きさや肌の色、背の高さ、体型、姿勢、爪の形に至るまで、私たちは他人と自分の違いを見つけては、コンプレックスとして自分が規格外なのだと思い込む。
コンプレックスは、言い換えれば自分をたった1人の替えのきかない存在たらしめるチャームポイントだ。
私たちが歪に生まれた奇跡を愛せるように。
Neighborsは、それぞれが唯一無二のチャームポイントを持つぬいぐるみです。

担当教員によるコメント

「コンプレックス=チャームポイント」嶋崎は卒制のアイデアの段階からこのコンセプトに着目し続けてきた。毛足の長さや、スタイルの異なる大量のテディーベアを一人でファクトリーのように短期間で作りつづけた集中力と造形力には驚嘆だ。企画に悩みながらつくっていたのは知っていたが初志貫徹(その強さこそが嶋崎の力である)、グラフィックも「あえて」つくらず、テディーベアのフォルムの多様性に視線を集中させようと考えた。その「あえて」削ぎ落とす力こそがまさに嶋崎のデザイン力だといえるだろう。オリジナルの白いシンプルな長いテーブルを制作し医療器具のようにストイックに等間隔でテディーベアを配置する、圧巻の空間構成。それはこの数のテディーベアでなければ成立しない。全ての要素が歯車のように噛み合った心地いい空間構成だ。全体の企画はもちろん、定着のアートディレクションが秀逸。卒業後、このデザイン力とどこかで出会うことになるだろう。楽しみだ。

教授・佐野 研二郎

  • 作品名
    Neighbors
  • 作家名
    嶋崎 仁美
  • 作品情報
    インスタレーション、ブランディング
    技法・素材:布(ファー、帆布)
    サイズ:W350×H400×D350mm(32点)
  • 学科・専攻・コース