赫奕

丸本 彩登

担当教員によるコメント

音信を感じさせず、見る者を空漠の地に一瞬にして誘い込むモノトーンの世界には、作者の思考の重力や人を惹きつける引力を感じずにはいられない。此岸と彼岸の境目に立たされるようで、さまざまな苦悩に堪え忍ばねばならないこの世界さえも美しく感じる。実際に存在する景色も作者の思念の積み重ねにより高次なものになるのだ。彼は卒業制作を通して自身を支える術を知ったのであろう。深遠な景色に光る水平線は、景色と相まって彼のこれからの創作の凄みを暗示しているかのようで誇らしい。

准教授・千々岩 修