空気のかたち 人による空気の動きを可視化する, 『千駄木駅前』『渋谷スクランブル交差点』

遠山 美月

担当教員によるコメント

そこに自分の過去があった。過去といっても10年20年前の過去ではなく、昨日おとといでもなく、ほんの一瞬前の過去である。壁に留められた無数の薄い紙片が、近くを通る者が起こす僅かな風を受けて揺れる、という驚くべき集中力と手作業による遠山の作品である。私たちが人を認識するとき、顔や体型などのほかにその人の気配というものがある。その人が漂わせる、空気の仲間のような目には見えないものを、この作品は可視化させる。自分が今までどれほどの気配をどこに残してきたのか、それはそこに留まるのか消えるのか、それとも漂い続けるのか。もう会えなくなってしまった人も、気配だけは残り、いつかまた出会うことができるのだろうか。気配を受けてヒラヒラしている小さな薄紙は、人の存在について私たちに静かに問いかける。

教授・吉澤 美香

  • 作品名
    空気のかたち 人による空気の動きを可視化する, 『千駄木駅前』『渋谷スクランブル交差点』
  • 作家名
    遠山 美月
  • 作品情報
    『空気のかたち 人による空気の動きを可視化する』
    素材・技法:和紙、ミクストメディア
    サイズ:H300×W450×D800cm

    『『千駄木駅前』『渋谷スクランブル交差点』』
    素材・技法:油彩、キャンバス布、糸
    サイズ:H72.7×W72.7cm(2枚)
  • 学科・専攻・コース