ウブルハンガイ, Oクリニック

森 桜子

担当教員によるコメント

森の絵画を見ていると、複数の断片(図像)が画面上で複雑に関係を結び、強い生命感を放っているように感じます。また森の絵画は、ある領域を断片(要素)で一方向的に充満(構成)させるような単純なものではないように見えるのです。そのような絵画は、新陳代謝(壊すこと)が行われていないため、解釈の幅が狭い、ロゴス(理性)に偏重するような作品になってしまいます。森は、そのような絵画とは違い画面上で壊すという行為を積極的に行っているのです。あらためて、壊すという行為は、描き直し的行為ではありません。壊すことが同時につくることになるということです(つくることが壊すことでもある)。描き直しは、つくることにおいて、主観的な価値基準から逃れることはできませんが、 壊すとつくるが同時に起こる矛盾的行為は、生命そのものが生まれることです。それは、細胞自身が分解と合成を同時に進行させていくことに似ています。森がどこまでこのことに自覚的かはわかりません。しかし、生命そのものを生み出す運動性が、森の絵画に描かれていることは確かなのです。

教授・栗原 一成

  • 作品名
    ウブルハンガイ, Oクリニック
  • 作家名
    森 桜子
  • 作品情報
    『 ウブルハンガイ』
    素材・技法:油彩、アクリル、キャンバス
    サイズ:H217×W333cm

    『 Oクリニック』
    素材・技法:アクリル、キャンバス
    サイズ:H139×W152cm
  • 学科・専攻・コース