木組みの文化を継承していくためのキット

中村 有希

担当教員によるコメント

技術を受け継ぐという行為がなぜ困難で、一般的に望まれる通りにはならないのだろう。伝統という言葉に対して期待される継承のあり方に、純粋な疑問を投げかけた作品である。継ぎ手の技術は「おばあちゃんの家」という作者の日常にあり、純粋な探究心で文化と技術の継承を探るリサーチを行なった。そこで知った継承の難しさは、作者の疑問を増大させたのだろう。現代の技術で再現された樹脂製継手は、おっかなびっくり触れてしまう伝統技術からの解放を促す役割になった。「副産物の作品」と作者のいうパズルこそ、伝統技術と文化の魅力を現代の自分が受け止めたという証である。心動される魅力を現代の目で見つけ、つくり、親しむ。まさに「継承の技術」と言えるのではないだろうか。

教授・大橋 由三子

  • 作品名
    木組みの文化を継承していくためのキット
  • 作家名
    中村 有希
  • 作品情報
    技法・素材:素材=ABS樹脂 / 技法=3Dプリンター、塗装
    作品形態:組み立て式秘密基地キット、知育パズル
    サイズ:秘密基地(組み立て時)H1020×W1470×D1020mm、秘密基地(組み立て前)H530×W42×D42mm、知育パズル H500×W940×D700mm
  • 学科・専攻・コース