Form the Desire

中野 嵩大

作者によるコメント

時代や技術とともにクルマのあり方が変わっても、クルマの造形的な魅力の感じ方は変わらないと私は考える。し かし近年、効率化を求めた「箱型の移動体」が増え、クルマのモノとしての価値が薄れ始めている現状に疑問を感じ、 今まで積み上げてきたクルマの美意識をより魅力的に魅せる新たな造形研究をした。内板と外板が一体になった新 たなストラクチャーが魅せる表情は普遍的なクルマの魅力をより豊かに感じさせる。これは、クルマが持つ本来の魅力を次世代へと繋いでいくコンセプトモデルです。

担当教員によるコメント

プロダクトデザインの最新技術は、外観の印象と実際の強度、素材感と触感などに関して今までの常識を覆すことが可能なほど進化し、AI時代の自動運転車では、四角い箱が安全に人や物を運ぶことが可能になる。この作品はそのような時代背景の中で、学生の言葉を借りれば「流麗なフォルムへのオマージュ」である。彼は作品を通じて常にオーガニックなフォルムに興味を持ってきた。それは人間の本能が持つ「移動」という欲求に対するアォーダンスだと言っても良いと思う。制作にはもちろん3Dアプリや3Dプリンターを使用している。しかし最終作品はパテを盛り、手で磨き上げ完成させたものだ。そのフォルムは3Dレンダリングよりも実際のモックアップの方が魅力的で美しい。

教授・田中 秀樹