おおきなくりのきのしたで

島村 光

担当教員によるコメント

“幸せな子ども時代を過ごしたこと”が、作品制作に影響する重要な経験であったことに島村さんは気づいた。幼児期から描いた絵の一枚一枚を探り、様々な表現方法を試みた。蠟纈染やプリントに刺繍を組み合わせデリケートな質感の変化を作り込んだ。小さな頃の懐かしい時間を描き、すべての子どもの時間が幸せであることを彼女は強く願っている。現代の日本社会では効率を優先するあまり、余裕をもって優しく子供たちを見守ることができなくなっているのかもしれない。人間は皆だれでもはじめは子どもだったことを忘れてしまったのだろうか。〈大きな栗の木の下で〉を楽しく歌ったことも。このような時代に、島村さんは子どもたちを巡るテーマをこれからどのように展開していくのか、大いに期待している。

教授・川井 由夏