晴れの日 下町散歩

金 素希

作者によるコメント

人生は楽しいことばかりではなく苦しい経験をすることもあります。そんな時励みになる「何か」があれば明日も頑張って生きてみようと思えます。その「何か」は人それぞれですが、私の場合は散歩です。落ち込んだ時に晴れた日の下町(東京)を散歩すると一時的にではありますが気持ちが楽になります。穏やかな空間に身を置くことにより心が鮮やかになる様子を描きました。

担当教員によるコメント

「晴れの日 下町散歩」という文学的なキーワードで輝くような色彩を駆使し、静謐な空間を描きあげた。その色合いは、けっして日本だけではなく金素希の母国韓国の透明性が感じられる。しかし、幼少の時から長く東京で生活して確立した美意識や生活観、そこから見つけ出した透明性と共に静謐な日本の美とあいまったものに心を打つ。しかし、見た人は、どこか寂しげな佇まいの時間を共有するだろう。だからこそ引き込まれてしまう孤独で美しい色彩が現代的な時代までも取り込む力強さがある。コンピュータを自分のなかで昇華したのである。

教授・秋山 孝