少年大戦回想録

竹内 康陽

作者によるコメント

少年は色々な物や場所で戦って遊ぶ。これは少年たちの架空の戦いの記録だ。幼い頃の遊びは、大人になった今思うと笑ってしまうほどくだらない。一方で今の僕は昔の僕が知ったら驚くほど豊かだ。いつか今の僕をくだらなく思う僕になったら、それが成長だとしたら、少し窮屈だ。道端の枝で十分なあの頃に憧れてこれを作り始めた。

担当教員によるコメント

入学当初から枠に囚われまいとする竹内康陽の実験性に満ちたアプローチは、指導する立場からすると頗る気になる存在であった。それらは決して無謀な実践ではなく、課題に対して正面から真摯に向き合い、そして、徹底的な思考をふまえたうえでの行為だったからこそ心に強く響くものがあったのだと思う。専門課程に進み、自身でテーマを設定することが多くなると彼の才はより大きく開花する。表現の核はノイズに溢れ、奔放な広がりを見せる魅力的なドローイングである。しかし、更なる凄みは作品のメッセージ性にある。この卒業制作もしかり。目を凝らして12点のポスター達をじっくりと読んでもらいたい。言葉の力を本能として知っているビジュアリストであることを大いに理解していただけることだろう。

教授・澤田 泰廣