夢寐

大林 知恵

作者によるコメント

覚めようとしても覚められない"夢"の話です。この作品は実際の夢を元に制作しました。何度も覚めようとしてて、覚めたくて覚めたくてどうしようもなくて、覚めなければいけないと思うのに、誰に訳を尋ねてもただ一言「もう答えはわかっているだろう」と言われる、それは何か。そんな夢です。夙夜夢寐(しゃくやむび)。

担当教員によるコメント

キリキリと迫る覚めることのない悪夢のような強迫観念。タイトルにある「夢寐」とは「夙夜夢寐」(一日中、寝ても覚めても頭から離れず思うこと)からとったようであるが、この作品が内包する「痛み」「もがき」「無常感」は、いったい何だろうか?大林知恵は説明的なストーリーを解体し、断片の再構築によって作者自身の意識を直感的に観客に伝える表現にたどり着いた。通常のアニメーション作品のようにストーリーを語るのではなく、その精神や状況を表現するために、アニメーション表現が持っている可能性を最大限引き出そうとした。そして、その意志を支える卓越した描写力と繊細な音響演出によって研ぎ澄まされた「魂の叫び」とも言える力作が完成した。

教授・野村 辰寿

作品動画