Phantom

倉本 大豪

作者によるコメント

3年前、親友を亡くした。
18歳のまま歳をとらない彼女と23歳になる自分。歳を重ねるたび、離れていき薄れていく彼女の記憶。彼女は私の記憶の中で今も生き続けているが、この記憶でさえいつか消えてしまうのかもしれない。

でも、それでいいと思った。

記憶は脆く曖昧だ。
だからこそ彼女を美しく映している。

担当教員によるコメント

巨大な白い布が柔らかに揺れている。見る人を包み込んでしまうくらい、大きな女性の手がかすかにその布に触れている。3年次で倉本の故郷、広島をテーマに原爆で亡くなった多くの人々の記憶をテーマに作品制作していた倉本。
卒業制作では、亡くなった親友に対する倉本の向き合う姿勢が、この作品となった。現在を生きる自分と、記憶の接点を柔らかに揺れる布という境界線に触れた手で表現した作品は、思わず感情をゆさぶられるくらい見事だ。

教授・大貫 卓也

作品動画