ぽん

庄田 梨花

担当教員によるコメント

中国禅宗の開祖とされているインド人仏教僧の達磨(だるま)。しかし今ではむしろ、縁起物として売られている赤色の張子のイメージの方が強いだろう。庄田さんは、3年次のときから、この達磨をテーマに制作を続けてきた。いったいこの達磨とは何なのだろうか?そして、現代の達磨とは、いったいどのようなものであるべきか?最終的に庄田さんが制作したのは、電気、骨、消費、そしてWi-Fiをモチーフにした4つの達磨だった。電気なしには成り立たない現代の生活。逃れることのできない食欲と購買欲。ネット中毒を生み出すエーテルの雲としてのWi-Fi(そして昇天)。ゼミでのディスカッションでは、わからないことに対しては、どこまでも正直に質問を繰り返し、使ってみたい素材に対しては、うまくいかなくても何度も実験を繰り返し、1年間自宅のアトリエに籠もってこつこつと制作を続けたからこそ生まれた存在感ある作品。その過程は長大な巻物として記録されている。

教授・久保田 晃弘