bloodletting/ジョン・ハンターの剥製コレクション

青木 美紅

担当教員によるコメント

生命について思考する青木の仕事の熱量は圧倒的だ。長い不妊治療の末に生まれた自身の出生を知って以降、その仕事は強度を増して展開していった。あいちトリエンナーレ(2019)で発表した「羊のドリー」にまつわるインスタレーションと比べればその作品の規模はとても小さいが、人工授精に初めて成功したと言う18世紀の外科医ジョン・ハンターをテーマにした本作の射程は広い。その仕事の一つ、かつての医療行為である瀉血についての半立体ゾートロープ。赤青白のこの3色は瀉血を床屋が請け負っていたことの名残と呼ばれるサインポールの色。これまでも青木はサインポールのように回転し反復し続ける映像装置の1コマ1コマに、過剰な刺繍や装飾を施してきたが、それは生と死の瞬きを必死に確認しようとする切実な創造であり、我々はその回転に没入せざるを得ないのだ。


教授・石田 尚志

  • 作品名
    bloodletting/ジョン・ハンターの剥製コレクション
  • 作家名
    青木 美紅
  • 作品情報
    『bloodletting』
    素材・技法:モーター、紙、糸
    サイズ:H130×W75×D75cm、10kg

    『ジョン・ハンターの剥製コレクション』
    素材・技法:紙、粘土、糸
    サイズ:H120×W85×W36cm、7kg
  • 学科・専攻・コース