包む紙の強化ー自転車ー, 包む紙の強化ー個室トイレー

都丸 百花

担当教員によるコメント

都丸の作品は日常にある様々なものを紙でかたどったものだ。卒業制作の2点は大規模で、自転車とトイレをかたどっている。大きな模造紙で全体を覆い、出っ張った部分や紙が弱くなってしまった部分には新聞の広告紙で「補強」を施している。たとえば自転車の作品は、タイヤやフレームがまるで抽象構成絵画のような形態を浮かび上がらせ、ママチャリが美しい構造を持っていることをあらためて気づかせてくれる。トイレの空間はさらにダイナミックだ。個室の空間まで取り入れたことで規模も増し、紙の特性で空間が歪み、広告の過剰な情報と相まって躍動的な作品に仕上がっている。都丸はごく当たり前な日常の事物を、日常の広告紙などで覆い、そこから現物を抜き取ることによって、もの(ゴミ)に埋もれそうな日常を美しいオマージュ作品へと変容させている。

教授・菊地 武彦

  • 作品名
    包む紙の強化ー自転車ー, 包む紙の強化ー個室トイレー
  • 作家名
    都丸 百花
  • 作品情報
    『包む紙の強化ー自転車ー』
    素材・技法:紙、広告紙、ニス
    サイズ:H140×W162×D30cm

    『包む紙の強化ー個室トイレー』
    素材・技法:紙、広告紙、ニス
    サイズ:H200×W230×D70cm
  • 学科・専攻・コース