素足で集い、世代をつなぐ コンクリートアーシング空間の提案

各務 里奈

作者によるコメント

近年、全国的な高齢化により、地域での支え合いや、世代間交流の機会が減りつつあります。そ こで、子供から高齢者まで、幅広い世代が交流できる空間を生み出すための新しいアイディアとし て選んだのが、アーシングです。
アーシングとは、素足で大地を歩くこと。コンクリートの持つ気温や季節による微細な温度変 化、雨の日の水分や湿気を吸う性質を生かし、日によって変わる温度や湿度、感触を素足で楽し むアーシング空間を提案します。 素足に心地よい刺激を与えることで感じるリラクシング効果や開放感は、年代を問わず感じるこ とができるので、幅広い世代の自然な接点を生み出し、地域交流の拠点として根付く可能性を秘 めています。
コンクリートアーシング空間に集うことで、生き生きとした体づくりにつながるだけでなく、 「笑顔を見る視覚的情報」「声が聞こえる耳からの情報」「素足から感じ取る感触」といった五 感の刺激が、記憶や思い出と結びつきやすいため、ここで過ごした子供達が高齢になっても、世 代を超えて集い続けることのできる交流空間となります。 この空間で出会い、憩い、寄り添って、生きていく。 そんな持続可能な地域共生社会をコンク リートの新たな価値によって実現します。

担当教員によるコメント

日本興業株式会社様との産学連携により商品化が決定した作品です。社会問題となっている少子高齢化に対して、双方世代に向けたアクティブな健康的未来が垣間見える提案です。リサーチワークとして、彼女自身が幼老複合施設に出向き実際の現場で起きている物理的事象や心理的側面を肌で感じたコンテンツの具象化が高く評価された。ソリューションとして、素足で感じるアーシングに着目し、コンクリートのメリットを生かした美しいテクスチャーパターンとロースツール、ハイスツールが組み合わさる姿は熟考と数多くの試作を繰り返したことで生まれ出た姿です。今の時代が必要としている“世代を繋ぐ共生社会”への一つの答えであり、今後の施設設備や公園遊具の次なる空間提案になると確信する。

教授・中田 希佳

作品動画

  • 作品名
    素足で集い、世代をつなぐ コンクリートアーシング空間の提案
  • 作家名
    各務 里奈
  • 作品情報
    技法・素材:遮熱顔料入りコンクリート(タイル)、 軽量コンクリート(ロースツール、ハイスツール)
    サイズ:タイル H80×W415×D390mm、ロースツール H350×W415×D390mm、ハイスツール H550×W415×D390mm
  • 学科・専攻・コース