ヴァイオリン演奏時の顎下の痛みを軽減する顎・肩当ての提案

髙田 ふみ

作者によるコメント

ヴァイオリンを弾くときには一般的に顎当てと肩当てが使われるが、長時間演奏していると首元にあざができ、痛みを生じることがある。また顎当て・肩当ては、身体と楽器が唯一つながる部分であり、身体から出る曲への想いを楽器に十分に伝えることが求められる。この提案では、演奏時の痛みを減らすとともに心地よく演奏できることを目指した。演奏者の身体を3Dスキャンし身体にフィットした形状を作成、そして曲げ木の弾性を利用することで顎・肩当ての美しい一体構造を実現している。

担当教員によるコメント

髙田さんは、東京大学生産技術研究所の研究実習生として、山中俊治研究室に通いながら当研究に取り組んだ。問題解決に向けた理路の構築、機能モデルを用いた実証実験などは、山中教授のアドバイスや、東大の大学院生たちとのディスカッションに基づいて論理的に行い、材料選択や造形は、工学的理路に加え、本人の感覚を拠り所に美観や触感を探求していった。この理性と感性の調和によって、当作品は、理に叶ったデザインの骨格と、楽器のような情動を刺激する美観を備えている。また、生産方法の調査研究、取扱説明書やパッケージのデザインに至るまで着手しており、リアリティのある研究に仕上がっている。加えて、研究レポートも作成しており、大学院レベルの研究として高く評価した。

教授・安次富 隆

  • 作品名
    ヴァイオリン演奏時の顎下の痛みを軽減する顎・肩当ての提案
  • 作家名
    髙田 ふみ
  • 作品情報
    技法・素材:本体=ヒノキ、ABS樹脂、曲げ木、3Dプリント、塗装 / 付属品及びパッケージ=シリコン、紙、プラスチック、レーザーカット、UVプリント
    作品形態:立体
    サイズ:本体 H100×W120×D105mm、パッケージ、マニュアル H110×W180×D1mm
  • 学科・専攻・コース