卒業制作優秀作品集2020
生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻
山本 明日香
新たな食文化の提案
-食後のしあわせのデザイン-
技法・素材:布張り、Ultrasuede®、ジェスモナイト、ウレタンフォーム、羽毛、綿、ダンベル、木材
作品形態:家具
サイズ:H1100×W910×D800mm
食事の後、そのまま横になりたくなることはないだろうか? 食べてすぐ横になる行為は日本では行儀の悪い行為と言われている。しかし、医学的には食後横になることは消化を促し健康に良い行為と言われ、食休みを推奨する文化もある。そこで、食事をとりそのまま横になりくつろぐ椅子を提案する。この椅子を使用することで消化を促しつつ、食後のしあわせな気持ちを堪能することができる。
担当教員によるコメント
幼少の頃に、食べてすぐ寝ると牛になるよ、と親に言われて渋々起きた経験を持つ人は多いのではないだろうか。「美味しく食事をして、そのままゴロンとしているひとときは幸せ。」作者の経験からくる自然な感覚と、行儀、立ち居振る舞いとのギャップに真正面から向き合い、実際に一つの流れとして成立する家具を作ろうと本気で探求した作品である。食と食休み、二つの体勢を安定させつつ、食事後に右斜め後ろへの体重移動をスムーズにする。一筋縄ではいかないテーマに果敢に挑戦し粘り強く実験検証を繰り返した。優しい曲面をもった滑らかな肌触りのこの椅子は、一つのプロダクトが文化を作り出す可能性を力強く見せてくれる。ごちそうさまの後には、まだまだ新しい団欒の風景がありそうだ。
教授・大橋 由三子