ケン

林 さこ

担当教員によるコメント

林の作品は(結構)出来の良い犬の着ぐるみが、飼い主らしき人間に指示を与えて実行させるという、一見すると犬と人との関係性を逆転させた作品に見えるが、着ぐるみの中は紛れもなく人間であるということが作品の肝である。着ぐるみを着た人に使役される人との関係性は特殊な状況ではなく、犬と人間という固定化された視点を外すと急に不気味な映像作品となって、隠されていたストーリーが噴き出してくる。歪な関係性でも、物資的、行為的、関係性の依存によって実際に我々の人格は保たれている。着ぐるみを着なければならない弱さ、それに従う人間の弱さ、その関係性で2人は保たれている状態は不気味だが、実際の人と人との関わりは案外そんな絶妙なバランスで保たれているのかもしれない。

講師・木村 剛士

  • 作品名
    ケン
  • 作家名
    林 さこ
  • 作品情報
    技法・素材:ウレタン、ケミカルファー、パフォーマンス
    サイズ:H180×W200×D200cm
  • 学科・専攻・コース