memory

千田 朱莉

担当教員によるコメント

『memory』と題された本作は、作者にとって1年生の基礎実習において制作した友人の像以来2作目の木彫作品である。作者にとってはこれまで制作してきた作品のほとんどが透明樹脂を使ったミクストメディアの作品であったが、卒業制作においては木を選択し、自身が今最も大切だと思う人をテーマに制作を行なった。この作品においては現在進行中の思いをしっかりと持ちながら丁寧に対象の姿を彫り起こす事を試みている。荒取りの段階では大胆に大きくボリュームを削り落としながら人体の基本の形を把握し、細部の表現においては鑿(のみ)と刀の使い分けをしっかりとしながら対象の若々しくさわやかな青年の姿を掘り出している。対象に対する率直な思いが伝わってくる作品となっている。

教授・川越 悟