母性

野村 七海

担当教員によるコメント

「母性」(湊かなえ原作)の映画化のための美術計画です。湊かなえの小説は、日常の中の狂気を描く作品が多くあります。この「母性」もありふれた家庭に見えながらも、その内側にある愛情と、人の怖さが重要なテーマとなっています。映画でのメイン舞台を何箇所か想定し、丹念に現地調査を重ねています。その結果、葉山と鎌倉に決定しデザインをスタートさせましたが、これが大きな効果をあげています。場所の設定による美術計画が、見事に内容にはまっているのです。高台にある「美しい家」は、海が見える前庭が広い夕陽が綺麗な家です。その映像からも、幸せな家庭が表現されています。一方、田所家は極楽寺の江ノ電を渡った場所で、裏山の崖を背にしており、仄暗く湿気を感じる設定です。この対比により、すでに美術設計の大部分は成功しているのです。そのうえで、難しい和風建築の設計に挑戦し、調査と設計変更を繰り返し最終的には非常に高いレベルのセット図面を仕上げています。模型製作も丁寧で、野村さんの美術・照明計画は、スケッチ段階からそのセンスの良さが出ていましたが、ショットイメージはまるで出来上がった映画を見ているような出来栄えでした。今後もその感性と粘りを武器にして成長を遂げることを期待しています。

教授・山下 恒彦

作品情報

映像美術設計、セット模型

演劇舞踊デザイン学科の卒業制作について

演劇舞踊デザイン学科は、感性豊かな身体の表現者、創意豊かな空間を演出するデザイナー等の育成を目的とした学科です。それらの専門性から演劇舞踊コースと、劇場美術デザインコースを設けカリキュラムを展開しています。 卒業制作は、学びの集大成として、演劇公演、舞踊公演、映像美術作品展を企画制作します。演劇公演、舞踊公演は、両コースの専門ゼミのコラボレーションによる取組みです。

卒業制作 演劇公演
演劇舞踊コース・演劇ゼミ/劇場美術デザインコース・舞台美術ゼミ・照明ゼミ・衣裳ゼミ
2020年1月10日(金)~13日(月) 全7ステージ
東京芸術劇場シアターウエスト

卒業制作 舞踊公演
演劇舞踊コース・舞踊ゼミ/劇場美術デザインコース・照明ゼミ
2020年1月24日(金)~26日(日) 全6ステージ
多摩美術大学上野毛キャンパス 演劇舞踊スタジオA

卒業制作 映像美術ゼミ作品展
『3期生 卒業制作展』
劇場美術コース・映像美術ゼミ
2020年1月23日(木)~ 26日(日)
多摩美術大学上野毛キャンパス 3号館103実習室