生け花

成田 良美

担当教員によるコメント

体を通じた芸術表現は、人が肉体を持ち続けている以上、最も理解しやすいメディアの一つです。しかし、そこには普遍的であるがゆえに、固定化された概念や斜視、侵入者への排除、ステレオタイプなど様々な人々の思いや意味の負荷が本人の表現にのしかかってきます。このような負荷を成田さんは、美しく極薄のテキスタイルデザインでひるがえし、さらに着衣を自ら何度も作り直してつくりあげたプロセスがあったからこそ、自身が求める写真表現のエリアに持ち込むことに成功し、さらには独自性を表出させることにも挑戦できたように思えます。複雑で不確定性が高い未来に向け、サイバー社会を標榜し、社会の新機軸を牽引するクリエイターの活躍が多い中で、フィジカルなプロセスを学んだ成田さんだからこそ、できた成果なのだと思います。

教授・藤原 大