puppy

前澤 くるみ

担当教員によるコメント

当初、動物好きの前澤さんはニードル・パンチ技法で白熊のフィギュアを制作していました。その素晴らしいリアルさには惹かれるものがありましたが、テキスタイルの卒業制作に相応しいものか不安の中での出発でした。彼女はひたすら制作を進め、紆余曲折ありながら立派に完成させました。自身のコメントで、日常の中の一瞬に見せるペットの愛くるしさに言及しています。その感激を人に伝えるために、本人が想い描く「日常の一コマの定着」という癒し空間を写真撮りしました。勿論、本体は素晴らしい仕上りですが、同時に映像という虚構性を得意とする領域で、人形達の表情は永遠の命を吹き込まれたかのようです。映像が表面で語る虚構性は、彼女が学んだサーフェスデザインの本質と言えるものです。

教授・髙橋 正