意

作者によるコメント

斬新なジュエリーの提案をしたいと考え、表面が付け替え可能なロケットペンダント型ブローチを制作した。
人には心があり、それは常に流動的で形が定まらない。様々な感情が日々心の中を廻り続ける。そして時を重ねるごとに忘れてしまう。
私はその時の感情を大切にしたいと思い、自分の思い出を基に形にした。今回制作したものは相手の心を動かして初めて作品としての意味を成す。この作品を一目見てどのような感情が湧き起こるのか、見た人がどんな感情を思い出すのかを想像し、作品名にも込めた「心の動き」を楽しんでもらえることを目指し制作した。

担当教員によるコメント

人の心の流動的な感情の変化を、自分の思い出を基に17種類の造形として、銀、真鍮、金メッキを素材に、表面の付け替え可能な装飾としてロケット形式のブローチ枠に収まる形で制作。自分の思い出から制作した造形が、見る人にどんな感情を湧き起こすか、人々がどんな気持ちを想起するか想像する、心の動きを楽しむツールとしてのジュエリーを目指した。 造形表現には伝統的な彫金技法、打ち出し、彫り、透かし、ロストワックス鋳造、鑞付け、ロケット制作にはCADと、新旧の技術を研鑽。
種類豊富で自由な造形を、着け易い大きさのブローチに落とし込み、繊細でユニークな作品とした。多くのことに挑戦したい欲張りなまでの意欲的な姿勢に、今後の活躍を大いに期待する。

非常勤講師・山田 瑞子