My jewelry

須澤 佳奈

作者によるコメント

人類が誕生し、天災や外敵から身を守るために、動物の牙や貝殻、美しい石などを 身に付けたのがジュエリー の始まりです。現在ではお守りとしての役割や、自分自身を 美しく見せるために身に付けます。 私は、これまで学生という立場で決められたルートを歩んできましたが、大学を卒業したら社会人として新しい世界に飛び立ちます。そして経験したことがない困難に直面することが あると思います。社会に出て荒波にもまれながらも強くたくましく生きていくために、 4年間の集大成を詰め込んだ私のためのジュエリー を制作しました。今まで海をテーマに制作をしてきたので、卒業制作では「海の波しぶき」とこれから歩んでいく新しい世界の「荒波」を掛けて制作しました。

担当教員によるコメント

作者は三年次から海をモチーフにしたジュエリーを制作し、その都度得た学びを積み重ねながら造形を成長させてきた。それは具象から抽象へと向かう、ゆるやかな進化でもあった。卒業制作では、工芸の特徴である「素材と技法」の中で銀板と鏨を選び、作品化するべく辛抱強く向き合った。表からは見えない金具の機構が本人にとっては一番の難題だったようだが、指導を受けながら丁寧に考え、身体へのフィット感も試行錯誤しながら自身のペースで確実に波しぶきのイメージのネックレスを仕上げていった。これは社会という海に出発するための自分への御守りなのだという。柔らかなフォルムの、いい御守りになった。今までの努力が美しく結実したことを喜ばしく思う。

非常勤講師・糸賀 英恵